エンゲージメントサーベイとは?詳しく解説

エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメントを数値化し、可視化するための調査です。エンゲージメントとは、従業員が会社に対して持つ愛着や、積極的に貢献しようとする意欲を意味します。

このサーベイを通じて、組織の現状を把握し、問題点を明らかにして、改善策を講じることが可能となります。

エンゲージメントが高い企業

エンゲージメントが高い企業には、以下のような特徴があります。

  1. 経営理念が従業員にしっかりと浸透している
  2. 社内コミュニケーションが活発である
  3. 公正な人事評価制度が確立されている

従業員エンゲージメントの高い企業は、明確な経営理念やビジョンを持ち、それが従業員全体に行き渡っています。企業と従業員が同じ目標を共有することで、社内に一体感が生まれます。

また、社内コミュニケーションが活発であることもエンゲージメントの高さに繋がります。従業員同士の信頼関係が強く、良好な人間関係が築かれているため、業務もスムーズに進みます。働きやすい環境は、従業員の会社への愛着心を高めるでしょう。

さらに、公正な人事評価制度を持つ企業では、従業員の努力が正当に評価されます。これにより、従業員のモチベーションが高まり、企業への貢献意欲も増すでしょう。

エンゲージメントが低い企業

一方で、従業員のエンゲージメントが低い企業には次のような特徴があります。

  1. 離職率が高い
  2. 従業員のモチベーションが低い
  3. 人間関係が良くない

エンゲージメントが低い企業では、従業員が「この会社で頑張りたい」という意欲が乏しく、離職率が高い傾向にあります。もっとやりがいを感じられる企業があれば、転職を考えることも多いでしょう。

また、従業員のモチベーションが低いこともエンゲージメントの低さの一因です。企業のビジョンが従業員に浸透しておらず、同じ方向を向いていないため、仕事に対する意義を見出せません。そのため、仕事に対する姿勢も受け身になりがちです。

さらに、エンゲージメントが低い企業は人間関係が悪い傾向があります。十分なコミュニケーションが取れない職場では業務が円滑に進まず、働きにくい環境となります。こうした環境では、従業員の仕事への熱意も低下し、エンゲージメントが下がってしまいます。

エンゲージメントサーベイで分かること

企業にとって、従業員のエンゲージメントは非常に重要です。エンゲージメントの高低は生産性に直接影響します。エンゲージメントの高い従業員は、仕事に対して意欲的に取り組み、生産性を向上させます。これにより離職率が低下し、企業の成長にも貢献するでしょう。

従業員のエンゲージメントが低下していると感じた場合、サーベイの実施が推奨されます。サーベイを通じて社内の課題を明確にし、適切な改善策を立てることが可能です。

例えば、エンゲージメントサーベイでは次のような質問が行われます。

  • 会社の経営理念やビジョンがどの程度浸透しているか
  • 職場での人間関係は良好か
  • 周りの人に自社で働くことを勧めたいと思うか
  • 自身が成長していると感じられるか

これらの質問に対する従業員の回答を分析することで、従業員が会社に対してどれだけ愛着や関心を持っているか、そしてどれほど仕事に対して意欲的であるかを把握できます。

従業員満足度調査との違い

エンゲージメントサーベイと似た調査に、従業員満足度調査があります。

従業員満足度調査は、給与や福利厚生などの待遇に対する従業員の満足度を測るものです。この調査の目的は、職場環境や労働条件の「物理的な満足度」を把握し、改善点を見つけることです。

一方、エンゲージメントサーベイは、従業員が企業に対してどれだけの愛着を持ち、仕事に対してどれほど意欲を持っているかなどを測定します。これは、「組織や仕事への思い」を調査するもので、離職率の低下や組織の強化を目指して行われます。

エンゲージメントサーベイを実施する目的

エンゲージメントサーベイを実施する目的は、以下の3つに分けられます。

1. 組織の課題を可視化する

エンゲージメントサーベイの主要な目的は、現在の状態を把握し、組織が抱える課題を明確にすることです。サーベイを通じて、経営理念やビジョンが従業員にどの程度浸透しているか、上司や同僚との関係性はどうかなど、具体的な組織の問題点が浮き彫りになります。これにより、適切な対策を講じるための基盤が整います。

2. データを人事施策に活用する

エンゲージメントサーベイのもう一つの目的は、収集したデータを基に人事施策を改善することです。例えば、以下のような人事上の課題が明らかになります。

  • 職場のコミュニケーションが不足している
  • 従業員のモチベーションが低下している
  • 人事評価に不満がある
  • ワークライフバランスが整っていない

これらの課題を明確にすることで、効果的な人事施策を立案・実行することができます。施策を実行し、サーベイを定期的に行うことで、職場環境の継続的な改善と従業員エンゲージメントの向上が図れます。

3. 組織のパフォーマンスを向上させる

サーベイを通じて課題を抽出し、それに対する改善策を実施することで、組織全体のパフォーマンスが向上します。従業員のエンゲージメントが高まると、仕事への意欲も向上し、積極的に業務に取り組むようになります。これにより、生産性が向上し、目標達成が加速します。結果として、組織全体のパフォーマンスが向上し、企業の成長に繋がるでしょう。

エンゲージメントサーベイの実施方法

エンゲージメントサーベイは、自社で行う方法と外部に委託する方法があります。自社で実施する場合、課題や企業風土に合わせた独自の質問を設定でき、コストがかからないというメリットがあります。以下に、自社でエンゲージメントサーベイを実施する手順を解説します。

1. サーベイの実施目的を共有する

エンゲージメントサーベイを実施する際は、従業員に目的を共有することが重要です。調査が従業員の業務時間内に行われるため、その意図を理解してもらわないと、適当に回答される可能性があります。実施前に、解決したい問題や測定したい項目を明確にして共有しましょう。

2. サーベイの質問項目を選定する

目的を共有したら、具体的な質問項目を作成します。サーベイの成功は、質問項目の設定に大きく依存します。従業員の本音を引き出すため、社内全体や部署ごとに存在する課題を予測し、それに基づいた質問を作成しましょう。例えば:

  • 仕事を通じて成長できていると感じるか
  • 目標を共有し、職場全体が一体感を持って働けているか
  • 社内の人間関係は良好か

3. サーベイを実施する

サーベイは匿名で実施することが大切です。回答内容によって個人が特定されないようにし、回答者に不利益が生じない形式で行うことを従業員に説明しましょう。これにより、従業員からの信頼を得られ、正確な回答が期待できます。

4. サーベイの結果を分析する

サーベイの結果が出たら、まずは全体的なエンゲージメントの数値を確認します。初回のサーベイでは比較対象がないため、次回以降の指標とすることが重要です。他のデータと組み合わせて分析を行い、エンゲージメント向上のためのパターンを見つけましょう。同業他社の事例が公開されている場合、それと比較するのも有益です。

5. 分析結果をもとに組織の課題を設定する

分析結果から、組織の課題を抽出します。特定の質問項目で数値が低い場合や、特定の部署で数値が低い場合には、早急な対策が必要です。サーベイのスコアリングにより課題の度合いを可視化し、優先順位を付けて対策を講じましょう。

6. 具体的な改善施策を検討・実施する

組織の課題が明確になったら、具体的な改善策を検討します。例えば、企業の目標やビジョンの共有が不足している場合、社内勉強会の開催や1on1ミーティングの導入が考えられます。社内コミュニケーションの問題には、チャットツールの導入や社内イベントの開催などが効果的です。人事評価制度に対する不満がある場合は、評価制度の見直しを行いましょう。

7. 従業員へのフィードバック

改善策をスムーズに進めるためには、サーベイの結果と今後の方針について従業員にフィードバックすることが重要です。調査の結果が何に使われているのかがわからないと、従業員の協力を得られなくなります。従業員のエンゲージメントを高めるためには、上層部だけでなく現場を巻き込んだ取り組みが求められます。サーベイ結果を従業員に伝え、改善に向けた取り組みを共有しましょう。

エンゲージメントサーベイを成功させる為に

エンゲージメントサーベイを効果的に活用するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ここでは、サーベイを無駄にしないための事前確認事項を解説します。

1. 目的を明確にする

エンゲージメントサーベイを成功させるためには、解決したい問題やサーベイの実施目的を明確にすることが不可欠です。サーベイを実施すること自体が目的になってしまい、収集したデータがうまく活用されないケースがあります。目的を明確に設定し、その達成に向けたデータ収集を行いましょう。

2. 従業員の理解を得る

サーベイの実施にあたり、従業員の理解を得ることが不可欠です。サーベイの目的や実施手順、結果のフィードバック方法を事前に従業員に伝えることが重要です。説明会を開催するなどして、全員がサーベイの意義をしっかり理解できるようにしましょう。従業員の理解が不足していると、適切な回答が得られない可能性があります。

3. 質問項目の選定

質問項目は、サーベイの目的に応じて適切に選定する必要があります。組織の課題が明確になる質問を選び、結果を今後の方針や改善施策に活かすことが重要です。質問項目は記述式と選択式があり、記述式は個々のエンゲージメントの理解に役立ちますが、選択式は全体のエンゲージメントを可視化するのに適しています。サーベイの目的に応じて、バランスよく選びましょう。また、質問数が多すぎたり、回答に時間がかかったりしないように配慮が必要です。

4. 労働環境の改善に活かす

エンゲージメントサーベイの結果を基に、労働環境の改善に取り組むことが大切です。従業員の声を反映させることで、不満やストレスを解消し、エンゲージメントを向上させることができます。サーベイで抽出された課題に対して具体的な施策を実行することが、エンゲージメントサーベイを最大限に活かすポイントです。

エンゲージメントサーベイを無駄にしないためのまとめ

  1. 目的を明確にする – 解決したい問題を明確にし、データを効果的に活用する。
  2. 従業員の理解を得る – サーベイの意義や実施方法をしっかり説明し、理解を得る。
  3. 質問項目の選定 – 適切な質問を選び、従業員の負担にならないよう配慮する。
  4. 労働環境の改善に活かす – サーベイ結果を基に具体的な改善施策を実行する。

これらのポイントを押さえることで、エンゲージメントサーベイを効果的に実施し、組織全体のエンゲージメントを向上させることができるでしょう。

エンゲージメントサーベイを効果的に活用し、従業員の愛着心や貢献意欲を高めることで、組織全体のパフォーマンスを向上させ、企業の持続的な成長を実現しましょう。

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